ジョゼ・ザニーネ・カルダスのインスピレーションを受けたこの鉢植え置きは、不規則と規則性が調和したユニークなデザインが特徴。一筆書きのような金属ロッドとリノリウム天板、円弧型のガラスが織りなす絶妙なバランス。初期カルダス作品へのオマージュとして積層合板を使用し、一つに見える金属ロッドは曲げ部分と直線部分を緻密に溶接・仕上げ。困難な加工・溶接過程を乗り越えたどり着いた自慢のフォルムです。EDITORAの職人技術とカルダスの遺産が結びついたあらたな美学です。
- Size
W.520 × D.470 × H.500
- Material
TOP: GLASS & WB PLATED STEEL or BRONZE CAST
UNDER: LINOLEUM PLYWOOD
BASE: WB PLATED STEEL or BRONZE PLATED STEEL
独学で建築とデザインを学んだジョゼ・ザニーネ・カルダスは、自然素材の持つ魅力をたくみに活かし、木を彫刻のような家具に変えることで知られています。1964年、政治の波乱に翻弄された故郷ブラジルで、彼は大学の職を追われ、自然豊かなノヴァヴィソサへと避難しました。そこで彼は、森林の破壊という厳しい現実に直面し、地元の職人が倒木を用いて船や家具をつくりだす様子からインスピレーションを受けます。そうして生まれたのが「Móveis Denúncia(抗議の家具)」シリーズ。環境への深い敬意と森林破壊への静かで力強い反対声明です。
若くしてリオデジャネイロで建築模型の工房を開設し、モダニズムの巨匠たちと肩を並べた彼は、1949年に「Móveis Artisticos Z」を設立。機能的でうつくしい合板家具の生産を開始します。流麗な曲線が特徴で、形と機能の融合によるユニークなデザインは中流階級の家庭で愛されるようになりました。
カルダスのデザインは、直感と自然に対する熱い想いから生まれます。1989年にはその功績がパリの装飾芸術館で大規模展示され、1991年にはブラジル建築士協会から名誉建築士の称号を授与されるという非凡な成功を収めました。技術的な訓練を受けていなかったカルダスですが、天賦の才と解決へのアプローチは、シーンからも世界的に高い評価を受けています。
自然と共生し、人間と環境が共鳴するような生活を追求したカルダスの哲学は、今日のデザイン業界においてもあたらしい標準を築きました。彼の作品は機能性を追求した「Móveis Artisticos Z」の時代から始まり、森の叫びを形にした「Móveis Denúncia」まで変わらぬ美学で一貫しています。芸術、社会、環境への深い理解を持つカルダスの生涯は、単なる家具や建築を超えた、持続可能な世界への憧れを形にしたものです。EDITORAの家具もまた、自然素材への尊重とユニークネス、職人技術への敬意を色濃く表現することで、カルダスの精神を継承していきます。