1953 年、シャルロット・ペリアンがデザインした「オンブルチェア」は、初期モデルの強度問題から始まりましたが、彼女の美学は数十年の試行錯誤を経て製品化されました。最初の10mm厚のプロポーションから〈天童木工〉〈カッシーナ〉といった各メーカーがそれぞれの時代に対応した改良を重ね、現行のカッシーナ版は17mm厚に。このチェアからインスピレーションを受け、EDITORAは「しなる」という構造挑戦をガラス天板テーブルへと転用。強度を持たせつつも、美しいしなりを生み出すこのテーブルは、過去から学び、未来へと繋げるEDITORAの挑戦です。
- Size
W.1500 × D.700 × H.380
- Material
TOP: GLASS & WB PLATED STEEL or BRONZE CAST
BASE: WB PLATED STEEL or BRONZE PLATED STEEL
フランスのモダニズムデザインを牽引したシャルロット・ペリアンは、建築家ル・コルビジェのアトリエで学んだ経験も持ちます。ペリアンがデザイン界で高く評価された理由のひとつは、彼女がモダニズムデザインの理論を独自の視点で解釈し、それを具現化した作品をつくり出したことにあります。特に日本の文化との結びつきはとても深く、その影響は大きなものです。1930年代に初めて日本との関わりを持ったペリアンは、日本文化の精神性とデザイン思想に魅了されました。その後の彼女の作品は、自然との調和、素材への敬意、人間中心のデザインという日本の美学を取り入れたものが多く、それらは彼女の作品全体に見ることができます。
その最たる例が、1953年にデザインされた「オンブルチェア」です。この椅子は日本の座法に影響を受け、木材の美しさを最大限に活かすためにデザインされました。強度や当時の技術的側面から初期の作品は量産に至らなかったものの、素材の特性を活かしながら技術的な試行錯誤がくり返され、数十年を経て再販されました。
この「オンブルチェア」の思想はEDITORAのテーブルにも受け継がれています。テーブルは「しなる」という構造的デメリットをプラスに転用しており、21mmのガラス天板の重量により脚部に荷重をかけ、曲げ部分を少しだけしならせることで、多少不陸のある床とも食いつく構造になっています。また、ガラス天板を円錐型の金物と脚部で挟み込み、構造体そのもののうつくしさも追求。ペリアンの美学と東西のデザイン思想の融合を具現化したプロダクトです。